こちらの本を読みました
プロジェクトのトラブル解決大全 小さな問題から大炎上まで使える「プロの火消し術86」 木部智之著
ITプロジェクトをやった方なら大体解ると思うのですが、大抵のプロジェクトは炎上します。と言うより炎上すると思っておいた方が良いです。私もかつてその業界に居たこともあり、こちらの本はどのパートも「うんうん、そうなんだよな」と、その情景がありありと浮かびました。
”大全”と書いているだけあり、かなり多い項目をカバーしていますが、基本は工程と人心の管理です。逆にその分だけ汎用性があるとも言えます。どんなプロジェクトも結局のところそこで崩壊するからです。
トピックは86あるのですが第一章の最初のトピックが
『9割の人が怠るファーストステップ「腹をくくる」』
色んな修羅場をくぐって来た人の書くことの最初がこれっていうのは含蓄ありますね。
この著者の方は火消しのエキスパートとして認識されていて、誰かが勝手に火をつけた現場にいきなり放り込まれる役柄です。そりゃ誰だって嫌でしょ。人のせいにもしたくなるし、あらかじめ逃げ道を作りたくもなります。野球で言えば3点くらいビハインド。ノーアウト満塁みたいなところで、「お前行って抑えてこい」って言われるピッチャーみたいなもんですかね。しかも相手は村上とか。それどころかワンポイントじゃなくて、試合終了まで投げ続けて勝利投手にもなれ、と。
まあそこでやるにはある種の開き直り的な姿勢で腹を括ることが絶対条件なんでしょう。そういう人じゃないとそもそも無理ですしね。いやマジで頭が下がります。
プロジェクト型の仕事の特徴は、「一時的な組織であり」「期間とゴールがある」ということです。
つまり、雑多な人が集められて、期間内に成果を出さないといけない、ということですね。ですから、そういう組織をマネージするには結構な経験と能力が求められます。この著者の方はそれを痛い思いも時にはしながらノウハウとして積み上げてきたワケです。ですから、しみじみ感(コンサル業界でよく使と思しき用語 ありありとその情景が感じられるさま)が漂っていて、理論ばっかり書いてある本と違っています。コンサルは理論武装で攻めることが多いので、フレームワークとかから始まって網羅的に描こうとするあまり、つまらなーい、机上の空論めいた文章になりがちなのですが、そういうこともありません。
プロジェクト、と銘打っていますが、この本に書いてあることは一般のマネジメントやひいては家庭、人生のマネジメントにも応用が効きます。また、プロジェクトの当事者としてメンバーとなる方にも「ああ、管理者はこういう視点で見てるのね」という参考にもなりますので全ての方にお薦めしたいです。
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